【2024年度版】新築住宅の補助金・税制優遇制度について徹底解説

新築住宅を購入する際には、以下の方法で経済的な負担を軽減できます。
  • 補助金制度
  • 税制優遇制度
  • 減税措置
とくに新築住宅を購入する場合は、中古住宅やリフォームと比較しても建築にかかる費用の大幅な節約につながります。そこで今回は、2024年度でも利用できる各種制度をご紹介します。 新築住宅の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

新築住宅が対象となる補助金

新築住宅の購入者は、国や自治体が提供する以下の補助金を利用できます。
  • 子育てエコホーム支援事業
  • ZEH補助金制度
  • 自治体の補助金と助成金制度
注意点としては、一部併用できない補助金もあることです。 「子育てエコホーム支援事業」と「ZEH補助金制度」はどちらも国の事業であり、いずれか一つしか選択できません。

子育てエコホーム支援事業

子育てエコホーム支援事業は、2024年からスタートした補助金事業です。 子育て世帯や若者夫婦世帯が新築住宅を建築・購入する際に、最大100万円の補助が受けられます。補助金の対象となるのは、おもに長期優良住宅やZEH住宅の購入者です。 エネルギー効率の良い住宅を建てることにより、光熱費の削減に貢献し、持続可能な住環境の支援を目的としています。また、補助金の申請は、登録事業者を通じて行われます。 申請期限は「予算の上限に達するまで」とされていますが、遅くとも2024年12月31日までが目安です。
対象者・子育て世帯 ・若者夫婦世帯
補助金・長期優良住宅:100万円/戸 ・ZEH住宅:80万円/戸
申請方法エコホーム支援事業者に依頼する

ZEH補助金制度

ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)補助金制度は、省エネルギー性能が高い住宅を新築する個人や事業者に対して支給されます。 ZEHとは、断熱性能の大幅な向上や高効率な設備やシステムの導入による省エネ住宅のことです。この政策は、エネルギー消費の削減と地球温暖化防止を目的として国が推進しています。 また、太陽光発電をはじめとする再生エネルギーを導入しているのも特徴です。 省エネ基準比20%以上を実現するだけでなく、一次エネルギーの年間収支を「ゼロ」にする目的もあります。ZEH補助金を受けるためには、住宅の省エネルギー性能を証明する書類や計画書などが必要です。 一般的には、ZEHビルダーと呼ばれる認定を受けた建築事業者を通じて申請を行います。補助金を活用すれば、初期投資の負担を軽減しながら、省エネルギー性の高い快適な住宅を実現できます。 代表的な商品には、エネファームやエコウィル、エコジョーズやエコキュートなどが挙げられます。
対象者ZEHの条件を満たす新築住宅を建てた方
補助金ZEH:55万円/戸 ※1 ZEH+:100万円/戸※2 ZEH+:112万円/戸 ※2(次世代HEMS実証事業) ※1:+蓄電池で20万円 ※2:+直交集成板等で最大90万円
申請方法ZEHビルダー(認定を受けた建築事業者)に依頼する

自治体の補助金と助成金制度

自治体によっては、国の事業とは異なる独自の補助金制度を用意している場合があります。 住宅の建築場所が決まっている人は、市町村の公式ホームページから「自治体が補助金制度を設けていないかどうか」を確認してみましょう。制度の有無を調べてもわからない場合は、建設業者に確認を依頼しても問題ありません。

新築住宅に利用できる税制優遇制度

新築住宅の取得時には、以下の税制優遇制度を利用できます。
  • 住宅ローン控除
  • 認定住宅の所得税特別控除
  • 住宅取得等資金贈与の非課税特例
税制優遇制度を有効活用すれば、新築住宅の購入にかかる家計の負担を大幅に軽減可能です。 中古住宅購入やリフォームと比較しても、新築住宅の税制優遇制度は種類や減額幅が大きく優遇されている傾向にあります。

住宅ローン控除

住宅ローン控除住宅ローン控除とは、新築または中古の住宅を購入した際に、住宅ローンの残高に基づいて所得税から一定額が控除される制度です。 年末時点のローン残高の「0.7%」が、最大13年間にわたり控除されます。

ローン控除額 = 年末借入金残高 × 控除率(0.7%)

また、新築住宅における物件のタイプによって、下表のように住宅ローンの最大控除額が変動します。
住宅タイプA.住宅ローン残高の上限B.1年間の控除額(A×0.7)C.控除期間D.控除合計額(B×C)
長期優良住宅・低炭素住宅4,500万円(5,000万円)31.5万円(35万円)13年409.5万円(455万円)
ZEH住宅3,500万円(4,500万円)24.5万円(31.5万円)13年318.5万円(409.5万円)
省エネ住宅3,000万円(4,000万円)21万円(28万円)13年273万円(364万円)
上記以外の住宅0円0万円10年0円
※()内は「子育て世帯・若者夫婦世帯」に該当2024年には、住宅ローン控除の適用が拡大されました。 子育て世帯や若者夫婦世帯は、さらに大きな減税メリットを得られるのが魅力です。ただし、制度を活用するためには、住宅ローンの返済期間が10年以上であることが条件となっています。 また、確定申告を通じて適用を受ける必要があるため注意しましょう。

長期優良住宅とは

長期優良住宅は、長期にわたり良好な状態で使用するための措置講じられた優良な住宅です。 長期優良住宅の建築及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁に申請することで認定を受けることができます。 新築についての認定制度は平成21年6月4日より、既存住宅を増築・改築する場合の認定制度は平成28年4月1日より開始しています。引用:1.長期優良住宅とは|国土交通省
長期優良住宅とは、下記の認定基準を満たした住宅を指します。
  • 劣化対策等級3以上
  • 耐震等級2以上
  • 維持管理対策等級3以上
  • 断熱等性能等級4以上
  • 維持保全計画

低炭素住宅とは

低炭素住宅とは、二酸化炭素の排出を抑制した省エネ住宅のことです。 断熱性・省エネルギー性・低炭素化措置を満たす必要があり、長期優良住宅と低炭素住宅の総称が「認定住宅」と呼ばれています。また、低炭素住宅は、原則として「市街化区域内」に建築する住宅が対象です。 認定基準を満たすための初期コストや手続きの煩雑さがデメリットとされていますが、税制優遇や補助金によるサポートが手厚い特徴もあります。

ZEH住宅とは

ZEHとは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語で、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味になります。つまり、家庭で使用するエネルギーと、太陽光発電などで創るエネルギーをバランスして、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする家ということです。引用:ZEHとは?|資源エネルギー庁
ZEH(ゼッチ)水準省エネ住宅は、省エネルギー対策を徹底している住宅です。 具体的には「断熱等性能等級5」かつ「一次エネルギー消費量等級6」を満たす住宅であり、使用するエネルギーを自宅で生成することにより、収支をゼロまたはプラスにすることを目指しています。ZEH住宅には断熱性能が高い素材を採用しており、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備を備えています。 一般的な住宅よりも光熱費を削減できるだけでなく、災害時においても蓄電池による電力確保が可能です。

省エネ住宅とは

省エネ住宅(省エネ基準適合住宅)とは、日本住宅性能表示基準における「断熱等性能住宅4以上」かつ「一次エネルギー消費量等級4以上」の性能を有する住宅です。省エネ住宅の住宅ローン控除を受けるためには、初年度のみ確定申告が必要です。 ただし、給与所得を得ている会社員であれば、翌年から勤務先の年末調整で対応できます。

認定住宅の所得税特別控除

認定住宅の所得税特別控除は、以下の住宅を新築で取得した場合に一定額を所得税から控除する制度です。
  • 長期優良住宅
  • 低炭素住宅
  • ZEH水準省エネ住宅
控除は、住宅ローンを借りていない人でも適用できます。 ただし、住宅ローン控除とは併用できないため、いずれか有利なほうを選択しましょう。なお、減税額は最大で65万円です。
対象住宅長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅
特別控除額性能強化費用相当額×10%(上限650万円)
所得制限その年の合計所得が3,000万円以下
繰越控除その年の所得税額から控除しきれない場合は翌年に繰り越して控除
期限その年の12月31日までに居住用に供すること

住宅取得等資金贈与の非課税特例

住宅取得等資金贈与の非課税特例は、贈与を受けて新築住宅を購入する際に、一定の条件下で贈与税が免除される制度です。 直系尊属からの贈与の場合には、以下のように非課税枠が設けられています。
  • 新築住宅に対して最大1,000万円まで
  • 既存住宅に対して最大500万円まで
制度を利用するためには、受贈者が贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までに住所地の税務署に「贈与税の申告」を行う必要があります。

新築住宅における減税措置

新築住宅の取得時には、以下の税金に対する減税措置を利用できます。
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 固定資産税
新築住宅に伴う制度は、中古住宅やリフォームと比較しても内容が充実しています。

登録免許税

登録免許税とは、登記簿謄本に権利の設定などをする際に法務局で支払う税金です。 新築住宅を購入した場合には、一定の要件を満たしていれば建物の登録免許税を軽減できます。登録免許税の計算式は、以下のとおりです。

登録免許税 = 固定資産税評価額 × 税率

また、建物の保存登記における登録免許税の税率は、以下のとおりです。
住宅タイプ保存登記税率
本則0.4%
新築一般住宅0.15%
新築長期優良住宅0.1%
新築低炭素住宅0.1%
登録免許税の減税措置の適用を受けるためには、登記の申請時に長期優良住宅の認定通知書などの「認定を証明できるもの」が必要です。 また、以下の要件を満たす必要があるので注意しましょう。
新築住宅・2024年3月31日までに建築されたもの ・自己の専用住宅で床面積が50平方メートル以上あること
マンションなどの区分所有のもの・自己の居住用部分の床面積が50平方メートル以上であること

不動産取得税

不動産取得税とは、新築住宅などの不動産を取得したときに課せられる都道府県税です。 新築住宅が以下の条件に当てはまる場合は、不動産取得税が軽減されます。

建物の床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下

不動産取得税の計算方法は、原則として以下のとおりです。

不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 税率(4%)

不動産取得税の軽減措置を受けられる新築住宅では、以下のように控除額が減額されます。

不動産取得税= (固定資産税評価額-1,200万円) × 税率(3%)

控除額は、一般の住宅であれば1,200万円。長期優良住宅の場合は、1,300万円となります。なお、軽減措置を受けるためには、約60日以内に所管する自治体の固定資産税課に申告が必要です。 期間内に申告するように準備しておきましょう。

固定資産税

固定資産税とは、不動産の所有者に課せられる市区町村税です。 毎年1月1日時点に所有する土地や建物に対して支払われます。新築住宅にかかる固定資産税は、3年間にわたり2分の1に減額されます。 また、長期優良住宅については、適用期間が5年間に延長されます。
住宅タイプ戸建てマンション減額措置
一般住宅3年間5年間2分の1
長期優良住宅5年間7年間2分の1
制度を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。
  • 住宅として使用する部分の床面積が全体の1/2以上であること
  • 居住用部分の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下であること
ただし、減額措置には適用期限が定められているため、制度の利用を検討する場合には事前確認しておきましょう。

新築住宅の補助金や優遇制度を有効活用しよう!

新築住宅の取得時には、さまざまな補助金や税制優遇制度などを利用できます。 各種制度を有効活用すれば、建築コストの経済的な負担を効果的に軽減できるのが魅力です。ただし、補助金や税制優遇制度には、利用するための条件や適用期限が定められています。 自分自身が対象者であるかどうかを調べたうえで、どの制度を活用するのか賢く検討するのも大切です。省エネ性能に優れた住宅を推奨している期間は、とくに節税制度が充実しています。 新築住宅を購入する際には、さまざまな節税方法を便利に活用してみましょう。
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