マイホームを購入する際には、住宅ローンの選び方で迷う人も少なくありません。
住宅ローンは返済期間が長期にわたるため、返済方法や手数料を慎重に判断する必要があります。そこで今回の記事は、
住宅ローンを賢く選択するためのポイントがテーマです。
金利だけでなく、比較検討すべき重要な要素も解説します。住宅ローンを申し込む流れも解説するので、これからマイホームを購入しようと検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
住宅ローンを選ぶ5つのポイント
住宅ローン選びでは、以下5つの要素を比較検討するのがポイントです。
- 金利
- ローンの種類(借入先)
- 団体信用生命保険(保障内容)
- 返済方法
- 諸費用(総返済額)
住宅ローンは返済金額が大きく、返済期間も長い傾向にあります。
金利だけでなく、ローンの種類や団体信用生命保険も理解しながら、負担なく返済できるプランを慎重に考えることも重要です。
1.金利で選ぶ
住宅ローンの契約では、3種類の金利タイプを選択します。
おもな金利タイプは、以下のとおりです。
- 全期間固定金利型
- 変動金利型
- 固定金利期間選択型
それぞれの特徴を理解しながら、将来の金利動向や自分自身の家計状況に応じて選択するがおすすめです。とくに教育費がかかる世帯には、返済額の変動が家計に与える影響を考慮する必要もあります。
一定期間のみ返済額を固定したい場合は、その時期だけ固定金利を選ぶのも賢い選択です。
全期間固定金利型
全期間固定金利型は、借入期間中の金利が借入開始から完済するまで
一定額に固定されるタイプです。
借入期間中の金利が変動しないため、毎月の返済額や総返済額が借入時点で確定します。全期間固定金利型のメリットは、返済額が固定されるため返済プランが立てやすいことです。
完済まで一定額を安定して返済したい人に適しています。ただし、変動金利型よりも金利が高めに設定される傾向にあります。
金利の負担が気になる人は、他タイプも比較検討してみましょう。
変動金利型
変動金利型は、返済途中でも市場金利に応じて
金利が変動するタイプです。
金利の見直しは、半年ごとに実施されます。ただし、返済額が変動するのは、5年ごとの周期が一般的です。変動金利型のメリットは、市場金利が低いタイミングに低金利で利用できることです。
金利を少しでも低くして、返済額を抑えたい人に適しています。しかし、市場金利が上がると返済額が増えるリスクもあるため、長期的な返済計画を検討している人は注意しましょう。
固定金利期間選択型
固定金利期間選択型は、
一定期間が経過するまで固定金利が適用されるタイプです。
一定期間の経過後は、状況に応じて変動金利や固定金利を選択できます。固定金利の適用期間は、金融機関の商品によってさまざまです。
市場金利の動向によって金利タイプを選べるので、最初は固定金利で様子見をしながら柔軟に活用したい人に適しています。一定期間が終わったタイミングに市場金利が上がっていると、返済額が増えてしまうのがデメリットです。
また、変動金利型よりも金利が高めに設定される傾向にあります。
2.ローンの種類(借入先)で選ぶ
住宅ローンの種類は、おもに以下3つの借入先に分けられます。
- 公的ローン
- 民間ローン
- フラット35
種類によって特徴が異なるので、自分に合ったローンを選択しましょう。
公的ローン
公的ローンは、国や自治体をはじめとする
公的機関が融資する住宅ローンです。
おもに財形住宅融資や自治体融資があります。5年間固定金利制の財形住宅融資は、民間ローンよりも低金利で提供されるのが特徴です。
保証会社に対する保証料や事務手数料がかかりませんが、勤務先の財形貯蓄制度を1年以上継続し、貯蓄残高が50万円以上あるなどの利用条件が求められます。自治体融資は、勤労者支援の一環として提供されています。
自治体が運用している融資であり、それぞれ内容や条件が異なります。
民間ローン
民間ローンは、銀行や信用金庫などの
民間金融機関が提供する住宅ローンです。
変動金利型や固定金利期間選択型など、多様な金利タイプを選択できる特徴があります。また、金融機関ごとに取引状況に応じた金利優遇が受けられる場合もあります。
ただし、ほとんどの金融機関では、団体信用生命保険への加入が必要です。民間ローンは、提携ローンと非提携ローンの2種類に分かれます。
提携ローンは、金利優遇を受けられることや借入手続き・物件の引渡しがスムーズに進むといったメリットが魅力です。
フラット35
フラット35は、
住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して融資を提供する住宅ローンです。
最長35年間にわたって金利が固定される長期固定金利型であることに特徴があります。金利が長期間固定されるため、完済するまで毎月の返済額が変わりません。
返済額にあわせてライフプランを立てやすいのもメリットです。
ただし、金融機関によって金利が異なり、借入期間や融資率などによっても変動します。フラット35には長期にわたって返済額が一定であるメリットがある一方で、市場金利が下がった場合に民間ローンよりも総返済額が増えてしまう可能性があることも考慮しておきましょう。
3.返済方法で選ぶ
住宅ローンの返済方法には、以下の2種類があります。
自分自身にあった方法を選ぶためにも、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
なお、金融機関によっては、元金均等返済を取り扱っていない場合もあります。
元利均等返済
毎月一定額を返済する元利均等返済には、返済計画を立てやすいメリットがあります。
毎月の返済額が変動しないので、
家計全体の管理を重視したい人におすすめです。ただし、返済当初は利息の割合が大きいため、元金の減少が遅いデメリットもあります。
月々の返済負担が減る半面、総返済額が多くなる場合もあるため注意しましょう。
元金均等返済
元金均等返済は、毎月の返済額のうち「元金の額」が一定となる返済方法です。
借入残高に応じて利息が計算されるため、元金が減るにつれて支払う利息も減少します。元利均等返済と比較して、
総返済額が少なくなるのがメリットです。
ただし、支払い当初の返済額が大きくなるため、一時的に家計を圧迫する可能性があります。初期の返済額が高くても、できるだけ早く元金を減らしたい人におすすめです。
4.団体信用生命保険(保障内容)で選ぶ
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローン契約者が死亡・高度障害状態になった場合に、残りのローンを保険金で返済する制度です。
一般的な住宅ローンでは、団信への加入が必須とされています。団信にはがん保障・生活習慣病保障・三大疾病保障などの保障があり、金融機関によって加入条件が異なるので事前に確認しておきましょう。
5.諸費用(総返済額)で選ぶ
住宅ローンの契約では、物件価格以外にもさまざまな諸経費が発生します。
おもな費用としては、以下の例が挙げられます。
- 事務取扱手数料
- 保証料
- 登記費用
- 融資手数料
- 印紙税
- 繰上返済手数料
- 各種保険料
金融機関や借入金額によって、必要となる費用は異なります。
一般的な金額の目安は、物件価格の約5~10%程度です。手数料や諸経費は、金融機関ごとに自由に設定されています。
ローン自体が低金利でも、
手数料や諸経費が高い場合もあるため総合的に判断するのが大切です。また、保証料や印紙税は、金融機関や契約方法によっては不要となる場合もあります。
住宅ローンに申込するときの流れ
住宅ローンに申込するときの流れは、大きく分けて以下の5ステップです。
- 情報収集・相談
- 借入先を決定
- 必要書類を準備
- 住宅ローンの審査
- 住宅ローンの契約
初めての住宅ローンでは、段取りがわからずに不安を感じてしまうことも少なくありません。
全体の流れを把握しながら、1ステップずつチェックしていきましょう。
1.情報収集・相談
住宅ローンにはさまざまな種類があります。
種類によって申込条件や金利が異なるので、
リサーチしたりセミナーに参加したりしながら情報収集するのがおすすめです。住宅ローン情報サイトや金融機関のホームページには、各種ローンの詳細な情報が掲載されています。また、住宅ローンのセミナーを実施している金融機関もあります。
より具体的なアドバイスが得られるだけでなく、直接相談できる機会があるのもメリットです。初めての住宅ローンでは、不明点や不安要素が残ってしまうことも多々あります。
安心して住宅を購入するためにも、相談できる機会を積極的に活用してみましょう。
2.借入先を決定
情報収集をもとに、借入先の候補から住宅ローンを決めましょう。
住宅ローンを決めるときは、先述の見出し「住宅ローンを選ぶ5つのポイント」で解説したポイントをチェックしてみてください。不動産会社や住宅メーカーでは、住宅を購入するときに提携金融機関の住宅ローンを紹介されることもあります。
提携ローンには金利が低かったり手続きの手間が省けたりといったメリットもあるので、借入先選びに迷ってしまうときは頼ってみるのもおすすめです。
3.必要書類を準備
住宅ローンの借入先が決まったら、審査申込に備えて必要書類を準備しましょう。
おもな必要書類は、以下のとおりです。
- 本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)
- 収入を証明する書類(源泉徴収票や確定申告の写しなど)
- 検討中の物件確認書類(パンフレットやチラシなど)
- 現在利用中のローン関連書類(必要に応じて)
審査には身分証明書だけでなく、
収入を証明する書類も必要です。
収入やローンの利用状況に応じて借入額が設定されるので、正確な資料・情報を提供しましょう。また、購入を検討している住宅(不動産)の情報には、販売価格と建築位置が記載されているのが理想的です。
物件ページがあれば、印刷して持参しましょう。
4.住宅ローンの審査
住宅ローンの審査は、事前審査(仮審査)と本審査(正式審査)の2段階に分けて行われます。
事前審査(仮審査)
事前審査は、購入したい物件が決まった段階で行われる審査です。
申込者の年収や自己資金の割合など、基本的な情報をもとに金融機関が審査します。オンラインや郵送で申込が可能です。
審査結果は、通常3日から1週間程度で通知されます。ただし、事前審査に通過しても、本審査で否決される可能性があるため注意が必要です。
本審査(正式審査)
事前審査の通過後には、より詳細な条件や書類をもとに本審査が実施されます。
購入物件の詳細や申込者の健康状態なども評価の対象となり、審査には1ヶ月以上かかるのが一般的です。本審査の重要な観点には、購入する「不動産の価値」があります。
申込者自身の収入状況や返済能力に見合っているかどうかもチェックされるため、仮審査に通ったからといって必ずしも本審査に通るとは限りません。とくに審査中にカードローンの滞納や新たな借入が発生すると、本審査に悪影響を及ぼすリスクがあるため注意しましょう。
本審査を通過すれば、住宅ローンの融資を受けられます。
5.住宅ローンの契約
本審査が承認されると、金融機関と住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約)を結びます。
契約によって金利タイプや返済期間が決定し、住宅ローン契約では
ローン実行時の金利を適用するのが一般的です。契約は、金融機関の窓口で平日に行われます。
実印や届出印が必要となりますが、契約時に改めて提出する書類はありません。住宅ローン契約には、印紙税がかかります。
借入額が1000万円超かつ5000万円以下の場合は、2万円の収入印紙が必要です。また、ローン保証料や融資手数料などの諸費用も、契約時にまとめて支払います。
さまざまな手続きと費用が伴うので、事前にしっかりと準備しておきましょう。
住宅ローンを賢く利用して夢のマイホームを購入しよう!
住宅ローンは、一人ひとりの条件に応じて最適な商品が異なります。
そのため、
自分に合ったローンを見極めるのが重要です。住宅ローンを選ぶ際には、金利だけを比較するのではなく、ローンの種類や返済方法も考慮する必要があります。
とくに家計の負担が気になる場合は、手数料や諸費用なども含めて総合的に検討するのがおすすめです。自分自身の収入やライフスタイルに合わせて、無理なく返済できる住宅ローンを選んでみましょう。