だんだん寒くなってくると、暖房便座の暖かさの有難みを感じますよね。暖房便座のないトイレなんて考えられないというのが日本の現状です。一方世界の国々でこの暖房便座を見かけることはほとんどありません。いったいどうしてなんでしょうか。あれだけ快適なのに海外の人かわいそう・・冬寒くて我慢できないんじゃない・・・??そんな風に思いますよね。
でもその理由は極めて簡単です。“必要ないから”です。
“必要ない”ってみんな我慢しているだけでは??いえいえそんなことはありません。
トイレの部屋自体が寒くないから必要ないのです。トイレが寒くない・・??ってことはトイレを暖房しているってこと・・??そうです。欧米のトイレが寒くないのは、トイレだけを暖房しているわけではなくトイレを含めた家中全体を暖めているからです。従って何も便座を暖める必要がないのです。
日本の家でトイレを暖房している家ってほとんどありません。トイレだけでなく廊下や脱衣部屋なども同様です。そもそも人のいない部屋も暖めるという文化も考え方もありません。欧米の人は随分贅沢な暮らしをしているんだな・・・と思う人もいるでしょう。ヨーロッパでは人が健康的に暮らすためには家の中の温度は20℃以上をキープするべきと言う考え方があります。つまり“贅沢”というより“健康的に暮らす”ためというのがその理由の一番ということです。
※出典:厚生労働科学研究費補助金「入浴関連事故の実態把握及び予防対策に関する研究」平成25年度 総括・分担研究報告書 研究 代表者 堀進悟※警察庁交通局「平成25年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状況について」平成26年
日本では室内の温度差による急激な血圧変動“ヒートショック”で亡くなる方が年間に19,000人もいるということですから、ヨーロッパで健康的に暮らす最低温度と言う考え方は贅沢とばかりは言っていられません。
寒いトイレを暖房便座で暖めるというのはかれこれもう30年以上前から変わっていません。固定電話から携帯電話そしてスマホへ、クルマも電気自動車から自動運転車へとありとあらゆるテクノロジーが進歩しているのに、なぜトイレの寒さだけは30年前と変わらないのでしょうか。
「家のつくりやうは夏をむねとすべし」
徒然草で吉田兼好が書いた有名なくだりです。
高温多湿の日本で木の家を長持ちさせるにはまず通気性が重視されてきました。夏は深い軒や茅葺屋根で日射を防いで、障子などを取り払って風通しをよくする、冬は障子や襖で狭く間仕切り、そこに火鉢や囲炉裏で暖を取って温まるといった古人の知恵が生み出した生活スタイルです。
戦後、生活が洋風化し家電が普及し始めても、この考え方に変化はありませんでした。ただ火鉢や囲炉裏といった暖房手段がこたつやストーブ、ファンヒーターやエアコンといった暖房器具に変わっていったのです。
日本は言わずと知れた家電大国です。世界的にも名の通った大手家電メーカーがこぞってこの日本独自の狭い空間を暖める機器の開発に勤しんで次から次へといろいろな暖房器具が作られていったのです。温かく過ごすには、まず暖房器具、そしている場所が暖かければ良い。建物の性能を高めて家全体を暖めるというのではなくこの発想しか持てないのが我々日本人なのです。
一方、家中丸ごと暖房が当たり前の欧米では、コストを削減するため建物の断熱気密性能を高めることに国中をあげて取り組んでいます。特に新築住宅には厳しい基準が義務付けられていて、それをクリアしなければ家を建てることができません。ところが日本ではその基準が義務化すらされておらず、このような国は先進国の中では日本くらいだと言われています。資源がなくエネルギー問題が深刻な日本なのに不思議ですよね。
近年、35度以上の酷暑が続いていますね。「屋内だから」と安心して対策を特別にとっておらず、熱中症になるというケースが多いようです。
出典:国立環境研究所 熱中症患者速報
夜寝苦しくて眠れないと言う方もたくさんいると思います。熱帯夜に室温が高くなかなか寝付けず、眠りに就いても夜中に何度も暑さで目が覚めてしまうことも。毎晩、浅い眠りを繰り返すうちに、慢性的な睡眠不足で夏バテの原因にもなります。「寝る子は育つ」と言いますが、睡眠時に分泌される成長ホルモンは、大人にとっても疲労回復に欠かせません。健康を保つために大切な睡眠の質が下がれば免疫力も低下して、病気になりやすくなるといった悪循環の可能性さえあります。
〈N=500〉 複数回答
■ 夏に感じる体調変化は?
戸建てでは2階に寝室が一般的なので、この酷暑では2階は夜になって窓を開けても涼しくはなってくれません。それどころかたっぷりとため込んだ熱で日中と暑さが変わらないと言った状態ではないでしょうか。
ほとんど全ての住宅では断熱材が2階の天井上に敷かれているだけです。この程度では35度以上が連日続くこの猛暑では到底快適に過ごすことはできません。今後地球温暖化がさらに進むとすると一体夏の気温はどれくらいにまで上昇するのでしょうか?40度が当たり前と言う時代が我々が生きている時にやってくるかもしれませんね。
日本と欧米との家の違いをバケツに例えみましょう。
日本の家は隙間が多く穴がたくさん開いたバケツです。そこに注がれる水を暖房した空気と想定します。蛇口から水を注いでも注いでも、穴から外に漏れてしまってはバケツに水が溜まりません。どんなにエアコンで暖かい空気を送っても外に漏れてしまっては不快な上に光熱費が無駄ですよね。
欧米の家は穴の少ないバケツです。新しいバケツに穴は許されませんし、古いバケツも後から穴を埋めて改修しています。だから少ない水でもすぐに溜まります。快適な環境をいかに省エネで実現するかを考えています。
日本では穴をなくすことよりも、蛇口を新しいものにすることやそれだけでなく、雨水を集めてバケツにそそぐ大規模な設備をつくることの方に関心が寄せられているような気がします。つまり建物の隙間を塞ぐ(穴をふさぐ)ことよりも太陽光パネルや蓄電池などの設備機器を設置することが“エコ住宅”なんだという認識です。最新の設備機器を導入するのは良いのですが、建物自体の性能に無頓着ではもったいないことです。建物の高性能化+省エネ機器の導入で初めて快適かつ省エネな暮らしを実現できるのですから。
この「ニッポンの家は寒い」という現状を改善し、人々の意識を変え、日本人でも欧米の人並みに快適で健康で豊かな暮らしを実現できる住環境を作っていくことが私たちの使命と考えています。
「暖房便座なんてなくてもトイレ寒くないよ」
そんなことが当たり前になる日を夢見て、Z空調は誕生しました。